考察というか、懸念事項です。11月中旬まで全話視聴しています。すげー長いです。

プリキュアシリーズがプリキュアであるために
 初代「ふたりはプリキュア」からすでに10年以上が経ち、この間、いくつものプリキュアシリーズが作られてきました。現実世界で起きた事件、物の考え方の変化などの時代背景、競合コンテンツなどからプリキュアシリーズは少しずつ形を変えてきていると感じています。プリキュアシリーズがプリキュアであるために外せない要素はもちろん残したままにです。わかりやすいところでは「血は描写しない」「プリキュアへの顔への打撃はなし」「アイテムでの物理的な攻撃はしない」などのいわゆる自主規制。他には「妖精・精霊・魔法・友達への思い(←キュアエコーがこれ)などの力によって変身する」「悪いやつをやっつける」「力を合わせるとすごい力を発揮できる」などプリキュアならではの要素です。

変化を模索するプリキュア
 ご存じの通り、本作「キラキラ☆プリキュアアラモード(以下プリアラ)」ではお菓子作りが主軸となっています。あくまで予想なのですが、前作の魔法つかいプリキュア!から制作陣は今までのプリキュアからの変化を模索しているように思えます。魔法推しであったり、劇場版でのキュアモフルン推し(キャラ推し)だったり、サクラとシズク(とキュアホイップ)を主役に据えたドリームスターズはシナリオ推しだったり、お菓子作り推しだったりと。これ自体はいいことであると受け取っています。10年以上続けてきたシリーズです、女の子だって暴れたい(だったかな?)のままではいられないでしょう。とはいうもののここまで巨大になったプリキュアシリーズです、プリキュアであるための要素を残しつつの変化の模索は大変だと思います。ときにはうまくいかないこともあったようにみうけられますが、変化の際にうまくいかないこともあると好意的にみています。

キラキラ☆プリキュアアラモードはプリキュアなのか?
 個人的にですが、現時点でプリアラにはプリキュアに必要な要素のうちの一つが弱いように感じています。「妖精・精霊・魔法・友達への思い)などの力によって変身する」がプリキュアに外せない要素の一つであることに異論を唱える人はいないと思います。プリアラにも当然含まれています。ただ、プリアラには

プリキュアに変身する理由が薄い

もう少しわかりやすくいうと、プリキュアシリーズで変身するということは悪い奴と戦うためなのですが、戦う理由づけが薄いということ。

 「凶暴化した妖精を追い払うため」から始まったプリアラですが、この時点では敵幹部が登場するわけでもなく、単にキラキラルをよこせと襲ってきた相手を退けるため、乱暴な言い方ですが、腹を空かせた野犬が現れたのでおっぱらったレベルの話です。守ったのは自分達(のお菓子)と、苺坂商店街(のお菓子)です。いってみればご町内を守るプリキュアです。結局、何話か先でキラキラルを集めていたのは理性を失っていたからというだけということが判明します。

 次に登場した新たな敵、ジュリオ。初の敵幹部です。ようやく「キラキラルを集めて何をしたいのか」が提示されるのかと期待しましたが、「実験」と称する武器強化のためでした。上と同じようにたとえるなら、路上強盗と戦うプリキュアぐらいな感じでしょうか。ディスピアのような黒幕の姿は見えません。

 膠着した状況が動いたのが、ビブリー登場以降。月でいうと6月以降。ここでようやく黒幕の「ノワール」が登場します(名前だけはちょくちょくでてたけど)。闇のキラキラルで世界を覆い尽くすことが目的とわかるわけですが、この間4か月、ご町内を守るプリキュアで話は進んできたわけです。歴代プリキュアの場合、敵幹部は早々に登場(たいていの場合、第一話)し、敵の目的も「ジャアクキングがすべてを喰い尽くすのを防ぐために、プリズムストーンを奪う」「悪の皇帝ピエーロを復活させる」「幻影帝国が地球を侵略する」等々、序盤に提示されていました。
 
 闇のキラキラル(=キラキラルを奪われた状態)が、人が倒れて、また、お菓子が石のように変わるだけなので、ホイップ達プリキュアの戦う目的が「そんなことはさせない! 地球の平和は私たちが守る!」ではなく「キラキラルを奪わせない! お菓子は私たちが守る!」程度にしか捉えてもらえないのでは? と危惧しています。

 やりたいことと、やらなきゃいけないこと
 あくまで私が「こうなのでは?」と考えていることのお話しです。プリアラでやりたいことは「お菓子作り」なんだけど、プリキュアシリーズである以上「変身しなければならない」「変身する以上、戦わなければならない」が足かせになっているように感じています。制作者側としては「変身してスーパーすごいお菓子を作る」ぐらいやってもいいんでしょうけど、「戦う」という要素をどうしても外せなかったのだと思います。

 やりたいことにはほかに「キャラ推し」もあるように思えるのですが、これは一定の成果がでていると思っています。秋の映画が週末興行成績で一位になれた要因の一つでしょう。ただ、女児に買ってあげるにはあまりにも高額なキャラクター商品が増えてきていたり、話題がエンディングの3D技術話に偏ってしまったり、声優さんのライブなど、制作スタッフの視線が視聴者である女児とその保護者から外れがちになっているのでは、と少し不安に思っています。

 これからのプリキュア
 個人的には、これからもプリキュアシリーズは続いていく、と楽観的に考えています。次回作以降、なにか理由があり「変身して戦う」が足かせになる(例えば、女児や保護者に求められていないなど)であれば、いっそこれらの要素を外してしまうのもありじゃないかと思います。個人的にはかわいいコスチュームに変身して悪いやつと戦うという要素がなくなるのはとても残念ですし、プリキュアを観なくなる可能性は高いですが、視聴者は我々うるさ型のおともだちではなく、女児とその保護者です。あくまで変化を求めるというのであれば、この春の劇場版、ドリームスターズが一つの解(正解)なように思えます。なんならプリキュアというタイトルを外しても……は、今となっては難しいんでしょうね。

さてさて、最終回まで残り三か月どうなるかな? かなかな?